「在宅で最期まで」を支える多職種連携──千歳での実践から見えてきたこと


「在宅で最期まで過ごしたい」──そう願う利用者や家族の声を聞くたびに、私はこの仕事の重さと尊さを改めて感じます。その願いを叶えるために欠かせないのが、医療と介護の連携です。千歳市でNPO法人の活動を続ける中で実感してきた、多職種連携の現実と実践のポイントをお伝えします。

なぜ「在宅医療・介護連携」がこれほど重要なのか

高齢化が進む日本では、病院完結型から地域完結型へと医療・介護の提供体制が大きく転換しています。2025年以降、団塊の世代が後期高齢者となる中で、病院のベッドだけでは到底対応しきれない現実があります。

在宅医療・介護連携が機能するためには、医師・看護師・ケアマネジャー・ヘルパー・薬剤師など、多くの専門職が情報を共有し、同じ方向を向いて動くことが必要です。しかし現実には、職種間の「壁」や情報共有の断絶が、連携の妨げになることが少なくありません。

千歳での実践から見えてきたこと

顔の見える関係が「連携」の土台になる

NPO法人ちとせの介護医療連携の会の活動を通じて、私が最も大切にしてきたのは「顔の見える関係づくり」です。会議や研修の場で何度も顔を合わせることで、「困ったときにすぐ電話できる」関係が生まれます。これは制度や仕組みだけでは作れない、人と人とのつながりです。

正直なところ、連携がうまくいかずに利用者が苦しんでいる場面を見るのは、本当につらいです。それでも、一つひとつの事例を丁寧に振り返り、次に活かしていく積み重ねがあってこそ、地域の連携は育まれると信じています。

ACP(人生会議)を日常の中に

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、いわゆる「人生会議」は、本人が元気なうちに「どこで、どのように過ごしたいか」を家族や医療・介護関係者と話し合うプロセスです。これを一度きりのイベントではなく、日常的な会話の中に位置づけることが重要です。

ケアマネジャーや訪問看護師が定期訪問の中でさりげなく意向を確認し、記録として残しておく。そのひと手間が、急変時の対応を大きく変えます。千歳でも、ACPに取り組む事業所が少しずつ増えてきており、その変化をうれしく思っています。

ICTツールで情報共有をスムーズに

多職種間の情報共有には、ICTツールの活用が有効です。医療・介護連携に特化したシステム(例:まいりん、カナミック、メディカルケアステーションなど)を使うことで、医師からの指示や看護師の観察情報をリアルタイムで共有できます。

導入コストや操作習熟の課題はありますが、「電話とFAXだけ」の連携に限界を感じている事業所には、まず一つのツールから試してみることをお勧めします。

多職種連携を深める3つの実践ポイント

1. 定期的なカンファレンスの場を設ける

月1回でも、関係する専門職が集まって事例を共有する場を設けましょう。オンライン開催も有効です。顔を合わせることで、次の連携がスムーズになります。

2. ケアマネジャーを「連携の要」として支える

居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、多職種連携の中心的な役割を担います。ケアマネが孤立しないよう、事業所内での相談体制や、主任ケアマネによるスーパービジョンの仕組みを整えることが大切です。

3. 医療機関との関係を日頃から築く

急変時に頼れる医療機関との関係は、日常的なコミュニケーションから生まれます。退院時カンファレンスへの積極的な参加や、在宅療養後方支援病院との連携協定を検討してみてください。

まとめ

在宅医療・介護連携の実践ポイントを整理します:

  • 「顔の見える関係」が連携の土台。会議・研修で専門職同士のつながりを積み重ねる
  • ACPを日常の関わりの中に位置づけ、意向を記録として残す習慣をつける
  • ICTツールを活用して、多職種間のリアルタイム情報共有を実現する
  • ケアマネジャーを連携の要として支え、孤立させない体制をつくる
  • 医療機関との日常的な関係構築が、急変時の対応力を高める

「在宅で最期まで」という願いに応えることは、介護・医療に携わる者の使命だと感じています。地域の力を結集して、一人でも多くの方がその願いを叶えられるよう、これからも活動を続けていきたいと思います。