8月が終わる ― 事業計画を、半期の手前で1回だけ開く

8月が終わる ― 事業計画を、半期の手前で1回だけ開く

8月31日、月曜日です。8月の最終日で、明日から9月に入ります。

4月から始まった年度は、9月末で折り返しです。つまり今日は、上半期の残りが1か月という日にあたります。

そこで今日は、4月に作った事業計画を1回だけ開いてみませんかという話を書きます。9月末を過ぎてから振り返るのでは、上半期はもう終わっています。まだ1か月あるうちに見るから、手が打てます。

事業計画は、たいてい閉じたまま

正直なところを書きます。事業計画書というのは、作った直後がいちばん熱心に読まれて、そのあとはほとんど開かれません。

理由は分かっています。日々の運営が忙しいからです。人が足りない、事故があった、監査の準備がある、家族対応がある。目の前のことを処理しているうちに、4月に自分が何を書いたかは、記憶から薄れていきます。

私も人のことは言えません。第8期の計画書を作るときはずいぶん時間をかけたのに、夏場はほとんど開いていませんでした。開かないまま年度末を迎えて、達成できていない項目を眺めて反省する。これを何年か繰り返して、ようやく途中で見る習慣をつけようと思うようになりました。

大事なのは、計画を守ることではありません。ずれていることに早く気づくことです。

30分で終わらせる、半期レビュー

構えると、やらなくなります。だから30分と決めてしまうことをおすすめします。管理者を集める必要もありません。まず経営する側が1人で開けば十分です。

見るのは3つだけでいいと思っています。

1つ目は、稼働です。入所なら稼働率、通所なら平均利用者数、訪問なら訪問件数。4月に見込んだ数字と、4月から7月の実績を並べます。8月はまだ締まっていないので、7月までで構いません。

ここで見たいのは、達成しているかどうかよりも、傾向です。じわじわ下がっているのか、ある月から急に落ちたのか。急に落ちた月があるなら、そこに理由があります。近隣に新しい事業所ができた、紹介元の担当者が替わった、送迎の枠が埋まって断った日がある。原因が特定できれば、対策は具体的になります。

2つ目は、人件費率です。これも4月から7月の平均で見ます。想定より高いなら、それが人員配置の手厚さによるものか、残業によるものか、派遣や応援によるものかを分けて見てください。同じ人件費率の上振れでも、意味がまったく違います。

そして10月からは、北海道の最低賃金が1131円になります。9月は、その影響が数字にどう出るかを試算しておく最後の月でもあります。8月の初めにこのブログでも書きましたが、時給の底上げは、最低賃金付近の人だけの話では終わりません。すぐ上の層との差が詰まれば、そこも動かす必要が出てきます。

3つ目は、人の出入りです。4月から今日までに、何人入って、何人辞めたか。そして、いま何人残っているか。

私は、この数字がいちばん正直だと思っています。稼働も収支も、結局はここに引きずられます。上半期に採用が計画に届いていないなら、下半期の計画は、その前提で組み直さなければ意味がありません。

計画を直すのは、負けではない

半期レビューで多いのが、ずれに気づいたのに、計画を直さずにそのまま走ってしまうことです。

気持ちは分かります。年度の途中で計画を下方修正するのは、格好がつかない。理事会や役員会で説明するのも億劫です。

ただ、達成できない数字を掲げたまま半年を過ごすと、現場が計画を信じなくなります。どうせ届かない目標が貼ってあるだけの状態は、掲げていないより悪い。

私は、修正するなら早いほうがいいと思っています。理由を添えて直せば、それは失敗の報告ではなく、経営判断の報告です。「4月の想定に対して、採用が2人足りていない。だから下半期は新規受け入れの拡大を止めて、いまの利用者への質を守ることに寄せる」。こう言えるなら、それは立派な計画です。

逆に、想定より順調に進んでいる項目もあるはずです。そこは素直に喜んで、職員に伝えてください。数字の共有は、悪い話のときだけになりがちです。

下半期に効くことを、1つだけ決める

30分のレビューの最後に、やることを1つだけ決めます。

3つでも5つでもなく、1つです。上半期にできなかったことを全部やろうとすると、たいてい何もできません。

決め方は、こう考えています。年度末に振り返ったときに、これがあったから今年は違ったと言える項目はどれか。それを1つ選ぶ。

たとえば、採用が足りないなら、下半期は採用の入口を1つ増やすと決める。事務の負担が重いなら、いちばん時間を食っている書類を1つだけ作り直すと決める。研修が回っていないなら、月1回の時間をシフトに先に入れてしまうと決める。

私たちが社内ポータルを作り始めたときも、最初は1つの業務からでした。いちばん痛かったシフト作成です。そこが少し楽になったから、次に手が伸びた。全部を一度に変えようとしていたら、たぶん1つも動いていません。

9月1日に、もう一度そろえる

明日は9月1日です。防災の日でもあり、4月入職の職員が半年を迎える節目でもあります。先週このブログで、半年面談の話を書きました。

人の半年を確かめるなら、数字の半年も同じタイミングで確かめる。この2つは別々のもののようでいて、実際にはつながっています。人が定着しているかどうかは必ず数字に出ますし、数字が苦しければ人にしわ寄せがいきます。

事業計画書を開いて、3つの数字を並べて、下半期にやることを1つ決める。それだけなら、今日の夜にでもできます。

北海道は、これから急に秋になります。ここから年度末までは、日々の運営に追われて、あっという間に過ぎていきます。走り出す前に1回だけ、地図を開いておきたいと思っています。

9月も、よろしくお願いいたします。


木下浩志(NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長/株式会社MCL 取締役/北海道介護福祉学校 非常勤講師/キャリアコンサルタント)

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