八月になりました。カレンダーを一枚めくると、今年もいよいよ後半だなと、少しだけ背筋が伸びる気がします。四月に立てた計画を、私はもう半分ほど忘れかけていて、毎年この時期に「そういえば」と思い出しては苦笑いしています。
北海道の今年の夏は少し涼しい感じですが、現場は相変わらず慌ただしく回っています。だからこそ、月が替わるこの区切りに、ほんの少しだけ立ち止まってみたい。今日はそんな話を書きます。
忙しさは、問いを先送りにする
介護の仕事をしていると、一日はあっという間に過ぎます。目の前の利用者さんに向き合い、記録を書き、シフトの穴を埋めているうちに、気づけば夕方です。それ自体は尊い時間なのですが、忙しさには一つ困った性質があります。「自分はこの先どうありたいか」という問いを、際限なく先送りにしてしまうのです。
キャリアコンサルタントとして面談をしていても、多くの方が「考える時間がなかった」とおっしゃいます。考えたくないのではなく、日々に追われて、その余白がなかった。よく分かります。私自身がそうだからです。
大きな決断は要らない、問いを一つだけ
だからといって、この夏に転職や進路を決めましょう、という話ではありません。むしろ逆で、大きな決断ほど、疲れているときにするものではないと思っています。
おすすめしたいのは、自分に問いをひとつだけ立ててみることです。たとえば――「この一年で、少しでも面白いと感じた仕事は何だったか」。あるいは「来年の夏、自分はどんなふうに働いていたいか」。答えはすぐに出なくてかまいません。問いを持っておくだけで、日々の見え方が少し変わります。
私の場合、今年ふと浮かんだのは「もっと現場の人の言葉を聴く時間を増やしたい」でした。経営や事務に追われるほど、いちばん大事にしたかったはずのそこから遠ざかっている。そう気づけただけでも、この問いを立てた甲斐がありました。
区切りは、自分でつくっていい
季節に区切りがあるように、働き方にも区切りがあっていいと思います。年度末や誕生日を待たなくても、八月の一日を「少し考える日」と決めてしまえば、それが区切りになります。
夏はまだ続きます。休めるときはしっかり休んで、そのうえで、頭の片隅に小さな問いをひとつ。それだけで、後半戦の歩き方は変わってくるはずです。私も今年の問いを胸に、もう半分を歩いていこうと思います。
木下浩志(NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長/株式会社MCL 取締役/北海道介護福祉学校 非常勤講師/キャリアコンサルタント)


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