受験申込が始まった夏に ― 介護福祉士国家試験と、事業所にできること

受験申込が始まった夏に ― 介護福祉士国家試験と、事業所にできること

昨日、7月22日から、第39回介護福祉士国家試験の受験申込の受付が始まりました。締切は9月2日。試験そのものは年明けですが、その入口はこの夏に開いています。

試験というと冬のイメージが強いのですが、実際にいちばん人が動くのは、たぶん今なのだと思います。申込は年に一度きり。ここを逃すと、また一年待つことになります。

現場から受ける人の、静かな夏

うちの事業所にも、実務経験ルートで受験する職員が何人かいます。3年以上の実務経験と実務者研修を経て、いよいよ国家試験、という人たちです。

養成校の学生と違って、現場から受ける人には「受験勉強に専念できる期間」がありません。日勤や夜勤をこなしながら、休みの日に少しずつ過去問を解く。子育てや家のことを抱えている人も多い。そういう人にとって、この申込の手続きひとつも、後回しになりがちな用事のひとつです。

だからこそ、事業所の側が「そろそろ受付始まったよ」と一声かけるかどうかで、動き出しが変わります。声をかけられて初めて、「あ、そうだった」と手引を開く。そんなものだと思っています。

事業所がこの時期にできること

受験する本人が主役であることは大前提として、事業所にもできることがいくつかあります。

ひとつは、実務経験の証明です。実務経験ルートで受ける人は、勤務先が発行する実務経験証明書が必要になります。書式や記入方法に不備があると、申込そのものが止まってしまう。これは本人にはどうにもできない部分で、事業所が正確に、早めに出すしかありません。過去に在籍した別の事業所の分が必要な人もいるので、そこも一緒に確認しておきたいところです。

もうひとつは、実務者研修を修了しているかの再確認です。受けるつもりでいたのに、研修の要件を満たしていなかった、という取り違えは、意外と起こります。申込の前に一度、本人と一緒に整理しておくと安心です。

こういう事務的な支えは、地味で目立ちません。それでも、受ける人からすれば、迷わず前に進める土台になります。

手続きは、だいぶ楽になった

今回、あらためて受付の案内を見て思ったのは、申込の手続きがずいぶん整理されたということです。インターネットでの申込ができ、受験手数料もクレジットカードやコンビニで払えるようになっています。

以前は払込用紙を握って郵便局やコンビニに走った記憶がありますが、そのひと手間が減っただけでも、忙しい現場の人には大きい。手続きのハードルが下がることは、受験そのもののハードルを下げることでもあります。制度の細部が使いやすくなっていくのは、素直にありがたいことだと感じました。

なお、試験の日程や手数料の詳細は、必ず「受験の手引」で最新のものを確認してください。ここに私が中途半端な数字を書いて、それを信じて動かれるのがいちばん怖いので、正確なところは公式に当たっていただくのが確実です。

資格を取ってもらう、ということ

私は事業者でもあります。職員に介護福祉士を取ってもらうことには、正直に言えば経営上の意味もあります。有資格者が増えれば、加算の要件や配置の面で事業所は助かる。それは事実です。

ただ、それだけではありません。国家資格を持つということは、その人が自分の仕事を「専門職」として引き受け直すきっかけになります。同じ介護をしていても、資格を取ったあとに背筋が伸びる人を、私は何人も見てきました。手当が増えることよりも、その変化のほうが、長い目で見れば大きいのではないかと思っています。

だから受験する職員には、「事業所のために受けてくれ」とは言いません。あなた自身のために受けるのを、こちらは全力で支える。そういうスタンスでいたいと思っています。

冬の教室で会う前に

私が非常勤講師として養成校の教室に立つのは、冬になってからです。今ごろの学生が、それぞれの場所で試験に向けて準備を進めているのだろうと想像すると、こちらも気が引き締まります。

現場から受ける人も、学校で学ぶ人も、入口は同じこの夏です。まずは9月2日の締切までに、申込という最初の一歩を確実に踏んでほしい。勝負はそのあとですが、その一歩を踏まなければ何も始まりません。

受けると決めた人が、手続きでつまずいて諦めることのないように。事業所としてできる支えは、しておきたいと思っています。


木下浩志(NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長/株式会社MCL 取締役/北海道介護福祉学校 非常勤講師/キャリアコンサルタント)

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