海の日の三連休に、少しだけ先のことを ― 資格とキャリアの棚卸し

海の日の三連休に、少しだけ先のことを ― 資格とキャリアの棚卸し

今日は海の日です。介護の現場に休日はありませんから、今日も多くの仲間が出勤しています。それでも、シフトの巡り合わせで三連休になった方もいるはずです。せっかくの休みに仕事の話を持ち込むのは野暮だと分かっているのですが、この時期にしか書けないことがあるので、少しだけ書かせてください。

夏は「試験に向かって歩き出す」季節

介護・福祉の資格試験は、実は冬に集まっています。介護福祉士の筆記は例年1月下旬、社会福祉士と精神保健福祉士は2月上旬。国家資格の本番は、いずれも年が明けてからです。

そのなかで少し早いのが、介護支援専門員(ケアマネジャー)の実務研修受講試験です。こちらは国家資格ではなく都道府県が実施するもので、例年10月に行われます。つまりいま7月は、ケアマネ受験組にとっては勝負の入り口であり、冬の国家試験を目指す方にとっては助走を始めるかどうかの分かれ道にあたります。

受験を考えている方に、毎年同じことをお伝えしています。どれも、直前に詰め込んで受かる試験ではないということです。範囲が広く、ケアマネ試験なら介護支援分野と保健医療福祉サービス分野の両方で基準点を超える必要があります。仕事をしながらの学習で、直前の一か月だけ本気を出して間に合った、という話はあまり聞きません。

逆に言えば、7月から手をつけていれば十分に射程です。毎日1時間は無理でも、休みの日に2時間。それを積み上げれば、秋から冬までに相当な量になります。夏は試験そのものの季節ではありませんが、受かる人が動き出している季節ではあるのだと思います。

それでも「受けるかどうか」から迷っている人へ

ただ、私が本当に書きたいのは勉強法の話ではありません。それは私より詳しい人がいくらでもいます。

私が気になっているのは、受けるかどうかを決めきれないまま夏が過ぎていく人のことです。キャリアコンサルタントとして面談をしていると、この層がいちばん多い。「取ったほうがいいのは分かってるんですけど」と言って、そこで話が止まる。

止まる理由を聞いていくと、勉強時間の問題ではないことがよくあります。多いのは、取ったあとの姿が見えていないというものです。ケアマネの資格を取ったら、いま好きでやっている現場から離れることになるかもしれない。給与が劇的に上がる保証もない。責任だけ増えるのではないか。そういう迷いです。

これは、まっとうな迷いだと思います。「資格は取れるうちに取っておけ」という助言は、間違ってはいませんが、その人の人生を代わりに背負ってはくれません。

迷いを言葉にしておくだけでいい

そういうときにお勧めしているのは、答えを出すことではなく、迷いを書き出しておくことです。

紙一枚に、三つだけ書きます。

ひとつ、いまの仕事で好きな場面。 具体的な場面がいいです。「利用者さんと話しているとき」ではなく、「あの方が久しぶりに笑った、あの朝」くらいまで細かく。

ふたつ、いまの仕事で続かないと思うこと。 体力なのか、夜勤なのか、人間関係なのか、給与なのか。ここは正直に書いていい。誰にも見せません。

みっつ、3年後にどうなっていたいか。 分からなければ「分からない」と書けば十分です。分からないと書けたこと自体が情報になります。

これだけです。10分もかかりません。それでも、書いた紙を眺めると、資格を取るべきかどうかの答えより先に、自分が何を大事にしているかが見えてきます。順番としては、そちらが先なのだと思います。

面談を待たずに、自分でやっていい

本来こういう整理は、キャリア面談の場でやるものです。ただ、面談の機会が年に一度あるかどうか、という職場も多いはずです。それを待っていると、また一年過ぎます。

ですから、自分で棚卸しをしてしまっていいのです。うまくまとまらなくても構いません。まとめるのが目的ではなく、一度立ち止まるのが目的です。連休というのは、その立ち止まりに向いた数少ない機会だと思っています。

私自身、この歳になっても、年に何度かこれをやります。書き出してみると、思っていたより自分が今の仕事を面白がっていることに気づいたり、逆に、ずっと目をそらしていた疲れに気づいたりします。どちらも、知らないままでいるよりはいい。

休むことも棚卸しのうち

最後にひとつだけ。もし今日が本当に何もしたくない日なら、何もしないほうがいいです

7月の介護現場は、暑さと人手のなさで、思っている以上に消耗します。その状態で将来のことを考えると、たいてい判断が暗いほうに傾きます。疲れているときに人生の大きな決断をするのは、避けたほうがいい。

まず眠って、食べて、それでも余力があったら紙を一枚。順番はそれで十分です。

三連休の方も、今日出勤されている方も、どうぞご無理なく。


木下浩志(NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長/株式会社MCL 取締役/北海道介護福祉学校 非常勤講師/キャリアコンサルタント)

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