今日の午後、「福祉のしごと 合同入職式」に出席します。この春から千歳やその近隣の福祉・介護の事業所に入職した、新しい仲間たちを、地域みんなで迎える会です。会社ごとに別々に迎えるのではなく、町ぐるみで一斉に「ようこそ」と言う。この形が、私はとても好きです。
まだ会場に行く前の、朝のうちにこれを書いています。数時間後に並ぶであろう若い顔、少し年齢を重ねてから福祉の道に入った方の顔――背景はそれぞれでも、どの表情にも、これから始まる仕事への緊張と期待が混じっているのだろうと思います。その一人ひとりに、どんな言葉をかけようか。正直なところ、まだ少し迷っています。
会社の枠を越えて、一斉に迎える意味
新人を迎える式は、どこの事業所でもやっています。それでも、あえて地域で合同の入職式を開くことには、別の意味があると思っています。
介護や福祉の仕事は、一つの事業所の中だけで完結しません。デイの職員も、訪問の職員も、施設の職員も、地域包括の相談員も、めぐりめぐって同じ利用者さんを支えています。今日となりの席に座る「別の会社の新人さん」は、数年後、電話の向こうで一緒に一人の暮らしを支える相手になるかもしれない。
だから最初の一歩を、あえて一緒にそろえる。「あなたは、この町の福祉を担う仲間の一人です」と伝える。合同入職式は、そのための場だと私は受け取っています。会社の看板の前に、まず「地域の仲間」という土台がある――そのことを、いちばん最初に感じてほしいのです。
手が荒れたら、ひと休みを
今日、私は新しい仲間へ、小さなメッセージカードとハンドクリームを添えて渡します。理事長としてご挨拶をさせていただく、というよりも、この一言を渡したいのです。
カードにはこう書きました。「人を支える仕事を選んだあなたを、誇りに思います。手が荒れたら、このクリームでひと休みを。あなたの『がんばり』を、私たちは見ています。」
なぜハンドクリームなのか。介護の現場に入ると、多くの人がまず手を荒らします。何度も手を洗い、消毒をし、水仕事をする。ひび割れた指を見るたびに、私は「ああ、この人はもう現場の人になったな」と思うと同時に、少し胸が痛みます。がんばりの証であると同時に、疲れの証でもあるからです。
だから、立派な言葉よりも、荒れた手にすっとなじむクリームのほうが、今日の私の気持ちに近いと思いました。派手な激励ではなく、隣にそっと置いておく。介護という仕事への向き合い方も、私はそうありたいと思っています。
「見ています」を、言葉だけにしない
カードに書いた言葉のなかで、自分でいちばん引っかかっているのは「私たちは見ています」の一行です。
新人の時期というのは、がんばっても、そのがんばりが誰にも気づかれていない気がして、心細くなるものです。うまく動けない自分ばかりが目について、先輩の背中が遠く見える。私自身にも、そういう時期がありました。だからこそ「見ているよ」と伝えたい。
これは言葉にする以上、こちら側の宿題でもあります。「見ています」と言っておきながら、実際には忙しさにまぎれて誰も見ていなかった。それでは、いちばん傷つけてしまう。今日の入職式で交わす一言を本当のものにできるかどうかは、これからの日々の職場の側にかかっています。今日は迎える私にとっても、責任のある1日になります。
三か月後に、辞めさせないために
新しく福祉の世界に入った人が、最初の数か月でつまずいて離れていく。この業界に長くいる者として、これを何度も見てきました。人手が足りないと言いながら、せっかく来てくれた人を早期に手放してしまう。これほどもったいないことはありません。
早期の離職は、本人の弱さのせいにされがちです。けれど私は、そうは思いません。多くは、迎える側の準備の問題です。相談できる相手がいたか。分からないことを分からないと言えたか。がんばりを見てくれる人がいたか。この三つがそろっていれば、人はそう簡単には折れません。
合同入職式で「地域の仲間」として迎える以上、もし自分の事業所で行き詰まったとしても、この町のどこかに味方がいる――そう思える関係を、少しずつでも作っていきたい。今日集まる新人さんたちが、来年もこの地域で働いていてくれること。それが、迎える私が果たすべき責任だと思っています。
新しい仲間たちへ
最後に、これから会場で出会う皆さんへ、朝のうちに、正直な気持ちを書かせてください。
数ある仕事のなかから、人を支える仕事を選んでくれて、本当にありがとう。この仕事は、楽ではありません。手も荒れるし、うまくいかない日もたくさんあります。それでも、目の前の人の「ありがとう」や、ふとした笑顔に、救われる仕事です。
つらいときは、一人で抱え込まないでください。今日同じ会場にいる仲間も、先輩も、この町のあちこちにいます。私たちも、そのうちの一人ひとりです。荒れた手を休めながら、長く、一緒に頑張っていきましょう。
今日の午後、会場でお会いできるのを楽しみにしています。これから、どうぞよろしくお願いします。
木下浩志(NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長/株式会社MCL 取締役/北海道介護福祉学校 非常勤講師/キャリアコンサルタント)


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