今日は七夕です。短冊に願いを書く日ですが、介護の現場では、ご利用者と一緒に笹飾りを作った事業所も多いのではないでしょうか。季節の行事を大切にする一方で、この時期の現場は熱中症対策に神経をすり減らし、職員の夏季休暇も重なって、いつも以上に慌ただしくなります。
そんな中で、つい後回しになりがちなのが「ご家族への情報発信」です。館内の掲示物、月に一度のお便り、水分補給や暑さ対策のお知らせ――どれも大切だと分かっていても、目の前のケアが最優先で、文章を練る時間まではなかなか取れない。私自身、現場が忙しい時期に「お便りが今月は出せなかった」という報告を受けるたび、担当者を責める気にはとてもなれませんでした。だからこそ今日は、この「伝える仕事」を生成AIに手伝ってもらう方法をお伝えします。
「伝えたい中身」だけ用意すれば、形はAIが整える
ご家族向けの文章づくりで時間を食うのは、「何を書くか」ではなく「どう書くか」です。伝えたいことは頭の中にあるのに、丁寧な言い回しや構成に迷って手が止まる。ここがAIの得意分野です。
たとえば箇条書きのメモをそのまま渡します。「猛暑が続いています/こまめな水分補給をしています/エアコンで室温を管理/面会時は水分持参をお願い」。そこへ「これをご家族向けの温かいお便りの文章にしてください。350字程度で」と頼めば、体裁の整った下書きが数十秒で返ってきます。中身を考えるのは人、形に整えるのはAI。この分担だけで、お便り一本にかかる時間は大きく縮みます。
「読む相手」を指定すると、より伝わる文章になる
もう一歩進めるなら、読み手を具体的に指定するのがコツです。「遠方に住んでいて、なかなか面会に来られないご家族が、安心できるように」と条件を添える。そうすると同じ内容でも、不安に寄り添うやわらかいトーンに変わります。
掲示物なら「高齢のご利用者本人も読むので、大きな字で短く」、職員向けの注意喚起なら「簡潔に、要点を三つで」。誰に、どんな気持ちで届けたいかを言葉にするほど、AIの出力は現場の狙いに近づきます。これは、私たち自身が「この文章を誰のために書くのか」を、あらためて考える時間にもなります。
最後にひと手間、必ず人の目を通す
便利さをお伝えした上で、ひとつだけ強くお願いしたいことがあります。AIが整えた文章は、必ず人が読み返してから出してください。
事実の確認はもちろんですが、それ以上に大切なのは「体温」です。AIの文章は整いすぎて、どこか他人行儀になることがあります。そこに、その施設らしい一言を添える。「先日の七夕飾り、皆さんとても良い笑顔でした」といった、そこにいる人にしか書けない事実を一行加えるだけで、お便りは急に血の通ったものになります。
効率化の目的は、手を抜くことではありません。定型的な部分をAIに任せて浮いた時間を、ご利用者の様子を思い返し、ご家族の顔を思い浮かべる時間に充てる。そのためのAIです。暑さで何かと気ぜわしいこの季節、伝える仕事の一部を機械に預けて、皆さんの負担が少しでも軽くなればと願っています。
木下浩志(NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長/株式会社MCL 取締役/北海道介護福祉学校 非常勤講師/キャリアコンサルタント)


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