10月のケアマネジャー試験、そして実務者研修や介護福祉士国家試験。秋から冬にかけての資格の季節に向けて、夏は「学び直し」の本番です。賞与を受け取り、少し気持ちに余裕の出るこの時期、「次のステップに進みたい」と考え始める職員は少なくありません。
キャリアコンサルタントとして、私はこの夏の小さな決意を、組織としてどう支えられるかを、いつも考えています。
「個人の頑張り」に任せていないか
資格取得を目指す職員に対して、多くの事業所は「応援しているよ」と言葉をかけます。けれど、その応援が言葉だけで終わっていないか――正直に振り返ってみたいのです。
仕事をしながらの学習は、想像以上に過酷です。夜勤明けの疲れた身体で参考書を開き、家事や育児の合間に問題を解く。職場が何も配慮しなければ、「働きながら学ぶ」は、結局その人ひとりの根性頼みになってしまいます。そして力尽きて、受験そのものを諦めてしまう。そういう才能を、私たちは何人も見送ってきたのではないでしょうか。
組織にできる「具体的な後押し」
応援を、言葉から行動に変えたい。できることは、決して大げさなものではありません。
試験前にシフトを少し配慮する。研修費用の一部を補助する。先に資格を取った先輩が勉強のコツを教える場をつくる。「無理しなくていいよ」ではなく「ここまで来たんだから、一緒に合格まで行こう」と声をかける――。こうした具体的な後押しが、職員の「やってみよう」を「やり切れた」に変えます。処遇改善加算をキャリアパスと結びつけて運用するなら、その学びはきちんと評価と処遇に反映させたい。学びが報われる実感こそが、次の挑戦を生みます。
資格は「ゴール」ではなく「対話の入口」
ここで、キャリア支援の本質に触れておきたいと思います。資格を取ることそのものが目的ではありません。大切なのは、その職員が「どう働き、どう生きていきたいか」です。
「なぜケアマネを目指すのか」「資格を取って、どんな仕事がしたいのか」。そう問いかけ、一緒に考える時間こそが、本当のキャリア支援です。資格はそのための、対話のよいきっかけにすぎません。学び直そうとする職員の背中には、その人なりの願いや迷いが必ずあります。その物語に、まず耳を傾けたいのです。
学ぶ人がいる職場は、温かい
誰かが学ぼうとしている職場には、不思議と前向きな空気が流れます。挑戦する人を、みんなで応援する。その文化があるかどうかで、職場の温度はずいぶん変わります。
学び直しの夏を、ひとりの頑張りに終わらせない。組織で支え、共に喜ぶ。そんな職場でありたいと、出張先の宿で、改めて思っています。あなたの事業所にも、いま静かに参考書を開いている職員がいるかもしれません。今日、その人に一声かけてみませんか。
木下浩志(NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長/株式会社MCL 取締役/北海道介護福祉学校 非常勤講師/キャリアコンサルタント)


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