求人にもAIの力を ― 人材不足時代の「伝わる募集」のつくり方

求人にもAIの力を ― 人材不足時代の「伝わる募集」のつくり方

介護現場の最大の経営課題は、やはり人材の確保です。求人を出しても応募が来ない――そんな声を、同業の経営者から数えきれないほど聞いてきました。今日は、この採用の悩みに、生成AIをどう役立てられるかを、現場目線で考えてみたいと思います。

AIは記録やシフトだけのものではありません。「人に来てもらう」という、いちばん難しい仕事にも、確かに力を貸してくれます。

「定型文の求人」では、もう届かない

多くの介護求人は、どこも似たような文章です。「アットホームな職場です」「未経験者歓迎」「丁寧に指導します」――。間違ってはいないのですが、これでは何も伝わらない。読む人の心は動きません。

求職者が本当に知りたいのは、具体的な働き方や、その職場ならではの空気です。けれど、忙しい現場で、魅力的な求人票を一から書き起こすのは、なかなか骨が折れます。だからこそ、つい定型文に頼ってしまう。ここに、AIの出番があります。

AIを「壁打ち相手」にする

私がおすすめしたいのは、AIに最初から完璧な文章を書かせることではありません。自分たちの職場の良さを「引き出してもらう」使い方です。

たとえば、「うちは残業が少ない」「ベテランと若手の仲が良い」「研修にAIを取り入れている」――そんな素材をAIに伝え、「これを求職者に魅力的に伝える求人票にして」と頼む。出てきた文章をたたき台に、自分たちの言葉で手直しする。あるいは「20代の未経験者に響く書き方は?」「子育て中の人が安心できる伝え方は?」と、ターゲットを変えて何案も出してもらう。ひとりで悩むより、はるかに早く、視点が広がります

「素材」は現場にしかない

ここで大切なことを、ひとつ。AIは、ありもしない魅力を捏造する道具ではありません。実際にない働きやすさを、言葉だけ飾って募集すれば、入職後のミスマッチを生み、早期離職につながるだけです。これは、求職者にも自分たちにも不誠実です。

AIにできるのは、すでにある自分たちの良さを、見つけ、磨き、伝わる言葉にすること。その「素材」は、日々の現場の中にしかありません。だからこそ、まず自分たちの職場の本当の魅力を、職員と一緒に棚卸しすることから始めたいのです。

採用は、最初の「ケア」

求人票は、求職者が事業所と出会う最初の場所です。そこに込められた言葉の温度は、必ず相手に伝わります。「この職場は、人を大切にしてくれそうだ」――そう感じてもらえる募集ができたなら、それはもう、採用前から始まっている最初のケアなのだと思います。

便利な道具を、誠実に使う。AIとの付き合い方の基本は、採用の場面でも変わりません。応募が来ないと嘆く前に、一度AIを相棒に、自分たちの求人を見直してみませんか。


木下浩志(NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長/株式会社MCL 取締役/北海道介護福祉学校 非常勤講師/キャリアコンサルタント)

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