はじめに ― 経営会議の朝に
おはようございます。木下です。
実は今日6月5日、これからMCLの経営会議があります。月初の経営会議は、前月の数字を締め、今月の方針を確かめる、私にとって大切な区切りの場です。毎月この日が近づくと、少しだけ背筋が伸びる思いがします。
先日のブログ(「月末ルーティンに生成AIを」)では、経営者個人の振り返りに生成AIを使う話を書きました。今日はその延長で、「会議」という、複数の人が集まる場に、生成AIをどう活かすかを、私自身の準備の様子も交えて書いてみたいと思います。会議の朝に書く、いわば実況のような一本です。
会議は「準備が9割」― だからこそAIが効く
長く経営に携わってきて、つくづく感じるのは、会議の質はその大半が事前準備で決まるということです。資料が整理されていない、論点が曖昧なまま集まる ― そうなると、貴重な時間が「状況の確認」だけで溶けていきます。一番もったいないのは、せっかく人が集まったのに、その場でしか生まれない「議論」にたどり着けないことです。
ここに、生成AIの出番があります。準備にかかる手間を軽くし、論点を先に研いでおく。会議そのものをAIに任せるのではありません。人が議論に集中できる状態を、AIに整えてもらうのです。私が実際にやっている使い方を、会議の「前・最中・後」の3つの場面に分けて紹介します。
1. 会議の「前」― 論点を先に研いでおく
私は経営会議の前に、その月の議題を箇条書きでAIに渡し、こう頼みます。「この議題それぞれについて、決定すべきことと、判断に必要な情報を整理して」と。
すると、漠然と「来月の方針」と書いていた議題が、「何を決める会議なのか」がはっきりした形に変わります。さらに、「経営者として見落としがちな論点を挙げて」と続けて問うと、自分一人では気づかなかった視点が返ってきます。
ここで大切なのは、以前のブログ(「AI実装はどこから始めるか」)でも触れたとおり、個人情報や機微情報をそのまま入力しないことです。職員個人の評価や、ご利用者の具体的な情報は伏せ、あくまで「論点の構造」だけをAIと整理する。この一線を守れば、会議前の準備時間は驚くほど短くなります。
2. 会議の「最中」― 議事の骨格をその場で残す
会議の最中、私が困っていたのは、「議論に集中すると記録が疎かになり、記録に集中すると議論が浅くなる」というジレンマでした。司会をしながらメモを取るのは、想像以上に難しいものです。
最近は、決まったことを短く口頭で確認し、その要点だけを手元にメモしておき、会議後にAIに渡して議事の骨格を整えてもらうやり方に落ち着きました。完璧な逐語録を取ろうとしないこと。これがコツです。「誰が・何を・いつまでに」という決定事項さえ押さえておけば、文章としての体裁はあとからAIが整えてくれます。
おかげで、会議中の私は、数字の背後にある現場の声や、参加者の表情に、以前よりずっと注意を向けられるようになりました。記録から解放されることで、かえって「人」を見られるようになった ― これは思わぬ収穫でした。
3. 会議の「後」― 議事録と「次の一手」に変える
会議が終わったら、手元のメモをAIに渡し、「決定事項・保留事項・次回への持ち越しに分けて、議事録の形に整理して」と頼みます。これまで会議後の夜にまとめていた議事録が、ずいぶん軽い作業になりました。
さらに私が重宝しているのが、「この議事録から、私が来月までにやるべきタスクを抜き出して」という使い方です。会議で決まったことは、放っておくと「決めただけ」で終わりがちです。決定を行動に変える、その橋渡しをAIに手伝ってもらう。会議の価値は、終わったあとに何が動くかで決まると、私は思っています。
それでも、決めるのは人である
ここまで書いて、念のため申し添えておきたいことがあります。生成AIに任せているのは、準備・記録・整理という、いわば会議の「土台づくり」の部分だけだということです。
以前のブログでも書いたとおり、AIは「なぜそうすべきか」という価値判断までは語れませんし、語らせるべきでもありません。経営会議の核心は、数字の向こうにいる職員とご利用者を思い浮かべながら、何を大切にして進むかを、人が議論して決めることにあります。そこだけは、どれだけAIが進化しても、私たちが手放してはいけない仕事です。
土台をAIに任せ、人は判断に集中する。この役割分担ができたとき、会議は「報告の場」から「決断の場」へと変わっていきます。
おわりに ― さあ、会議へ
さて、そろそろ会議の時間です。今日整理した論点をもとに、よい議論ができればと思っています。
経営や管理の立場で、毎月の会議に少し疲れを感じている方がいらっしゃれば、まずは「会議の前」だけでも、生成AIに論点を整理させてみてください。たったそれだけで、会議の景色が変わるはずです。会議を、人が顔を合わせて決断する、価値ある時間に取り戻していきましょう。
今日も良い一日をお過ごしください。それでは、行ってまいります。
木下 浩志
NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長
株式会社MCL 取締役
北海道介護福祉学校 非常勤講師


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