はじめに ― 昨日、市内7病院が同じテーブルにつきました
おはようございます。木下です。
昨日のブログでは、本日午後と夕方に2つの打ち合わせがあり、「制度」と「関係」の両輪を回す日になる、と書きました。本記事は、そのうち午後の打ち合わせの実施報告です。
- 日時:2026年5月19日(火)16:00~16:30
- 場所:北ガス文化ホール 視聴覚室
- 議題:介護支援等連携指導料2に関する千歳市7病院共通規程の策定
- 進行:菊地 真一 氏(市立千歳市民病院 地域医療連携課)
千歳第一病院、向陽台病院、千歳桂病院、千歳病院、北星病院、市立千歳市民病院、同仁会のメンバーが一堂に会しました。日程の都合で当日欠席となった千歳豊友会病院についても、5月15日に同内容を別途共有し、賛同を得ています。千歳市内7病院が、共通規程の策定に向けて同じテーブルにつく ――これが昨日の最大の成果でした。
なぜ「7病院共通」が必要なのか ― ケアマネジャーの業務負荷という観点
5月11日のブログで書いたとおり、令和8年度診療報酬改定で新設された「介護支援等連携指導料2」(500点)の体制要件には、
- 【ア】院内規程の整備
- 【イ】平時からの多職種連携体制の構築
- 【ウ】かかりつけ医機能に基づく事前の取り決め
の3つがあります。このうち【ア】は院内で完結する要件ですが、ここで仮に各病院がそれぞれ独自に規程を作るとどうなるか。ケアマネジャーは、A病院規程・B病院規程・C病院規程……と、病院ごとに異なるルールに合わせて動くことになります。
ケアマネジャー1人が担当する利用者の入院先は、当然1病院に限られません。「どの病院でも同じルールで動ける」状態をつくらなければ、現場の業務負荷は跳ね上がる ――これが、共通規程化を提案した理由です。
共通規程の内容(素案)― 千歳市共通情報提供書マニュアルに転記
共通規程は、ゼロから新しい文書を作るのではなく、NPO法人ちとせの介護医療連携の会が2019年から運用している 「千歳市共通情報提供書」のマニュアル に転記する方式で整理することにしました。すでに地域の関係機関に浸透している運用基盤に、加算要件に対応する文言を追記する形です。
具体的な追記箇所は以下の3つです。
②「入院時」
原則、入院後7日以内に、病院側から担当ケアマネジャー等に入院した旨を情報提供する。
④「退院時」
原則、退院が見込まれる7日前までに担当ケアマネジャー等に連絡し、必要な情報提供を行う。
③「担当ケアマネジャーが決まっていない場合」
要介護認定が未申請、または要介護・要支援認定を受けているがケアマネジャー等がいない場合、入院中に担当者を決められるよう、患者・家族に居宅介護支援事業所や地域包括支援センターを案内する。担当者が決まり次第、連絡を取り、必要な情報提供を行う。
これらは指導料2の算定要件「ア」「イ」(厚生労働省通知)に対応する文言です。算定要件をそのまま規程の文言として落とし込みつつ、千歳市の既存運用と矛盾しないように整理した のがポイントです。
質疑から見えた2つの論点
打ち合わせでは、現場の管理者ならではの実務的な質問が出ました。
論点1:院内周知の方法は指定されるのか
千歳病院・河田氏からの質問でした。算定要件には「規程を作成し、院内に周知する」とありますが、周知の方法まで指定されるのかという論点です。
これに対する回答は明快で、「周知方法は各病院の判断に委ねる」というものでした。今回の打ち合わせの目的はあくまで「7病院共通の規程文言の策定」であり、それを院内にどう浸透させるか(朝礼で共有する/イントラに掲示する/部門会議で説明する等)は、各病院の文化と運営に合った方法を選んでいただくということです。
論点2:指導料2を算定できない病院は規程作成に参加するのか
千歳桂病院・山口氏からの質問でした。介護支援等連携指導料2の算定には前提として「入退院支援加算1」の届出が必要で、現時点でそれを算定していない病院もあります。算定できない病院が、本規程の策定にどう関わるべきか、という論点です。
これに対する回答は、「現時点で算定できない病院も、ぜひ共通規程の策定に参画してほしい」というものでした。理由は2つあります。
ひとつは、地域の体制を整えるという観点。算定の可否にかかわらず、患者・利用者にとって入退院時の情報連携は重要であり、千歳市内の病院全体で同じ運用ルールを持っていることが、地域の介護事業所にとって大きな意味を持ちます。
もうひとつは、将来の算定を見据えた準備という観点。共通規程が整い、地域内に連携体制が出来上がっていれば、各病院は入退院支援加算1の体制を整え次第、指導料2の算定をすぐに開始できます。さらに算定要件には「平時から規程に基づいたケアマネジャーとの連携体制が構築されていること」が明記されており、共通規程と地域実績が、その「平時連携」の証跡そのものになります。
この論点は、「算定できる病院だけで規程を作る」のではなく、「算定できない病院も含めて地域標準を作る」という、千歳市らしい結論に着地しました。
これから1週間のロードマップ
打ち合わせで合意した今後のスケジュールは以下のとおりです。
| 期限 | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 5月25日(月) | 共通規程(文言素案)の確認、必要に応じた修正・加筆意見をメール送付 | 7病院の担当者 |
| 5月26日(火) | 各病院からの意見を集約、とりまとめ報告 | 菊地 氏(市立千歳市民病院) |
| 集約後 | 集約結果をマニュアルへ反映・修正 | 木下(連携の会) |
| 5月29日(金) | 共通規程を明記したマニュアルを居宅介護支援事業所・地域包括支援センターへ周知 | ちとせの介護医療連携の会 |
つまり、今から10日以内に、千歳市の入退院連携の地域標準が確定し、市内の介護事業所・地域包括支援センターに周知される ことになります。診療報酬改定(令和8年6月)の施行に間に合うスケジュールです。
また、これまで関係者間のメール連絡はBCC(ブラインド)方式が中心でしたが、本日以降はCC(オープン)方式に変更することで、出席者全員の合意を得ました。質問や修正依頼の内容を病院間で共有し、議論の透明性を上げるためです。
共通情報提供書アプリ ― 配布の準備も進めています
打ち合わせの最後、NPOからの情報提供として、千歳市共通情報提供書のアプリ化 を進めていることを共有しました。
- Windowsインストール版:通常のPCにインストールして利用
- Windowsポータブル版:USB持ち運び対応、インストール禁止のPCでも利用可
- Webブラウザ版:セキュリティ要件によりソフトウェアをインストールできない病院でも利用可
紙ベース・Excelベースで運用されてきた共通情報提供書を、医療機関と居宅介護支援事業所が同じフォーマット・同じデータ構造で扱えるようにするためのアプリです。情報の整理にとどまらず、印刷・PDF保存・データのバックアップ・旧Excelシステムからの移行までを一気通貫で行えます。
すでに開発は完了しており、希望される事業所には連携の会ホームページの申込フォームから連絡いただくことで、メールアドレスにアプリを送付する運用を開始しています。共通規程の周知(5月29日予定)とあわせて、アプリ配布も加速させていく予定です。
おわりに ― 「規程を作る」ではなく「地域を整える」
正直に申し上げると、昨日の打ち合わせは、決して劇的な議論があったわけではありません。30分という限られた時間で、淡々と論点を確認し、淡々と次のアクションを決めて散会しました。
しかし、その淡々とした30分の中に、「千歳市内の病院は、ケアマネジャーから見れば1つの地域として動く」 という意思が、確かに共有されました。これは、今までであれば「言葉では言うけれど実装はされていない」典型的な命題でした。それを、診療報酬改定という外部要因をきっかけに、7病院が同じテーブルで明文化に踏み切った ことの意味は小さくありません。
5月25日までに集約される各病院からの意見を、丁寧にマニュアルに反映させ、5月29日に地域へ周知する。そして、共通情報提供書アプリの普及と並行して、令和8年度の診療報酬改定施行を、千歳市として最も連携の取れた形で迎える ――これが、私たちNPOの今後10日間の最重要ミッションです。
最後に、ご多忙のところ打ち合わせにご参加いただいた市内7病院の皆さま、進行をお引き受けいただいた市立千歳市民病院・菊地様、そして欠席ながら事前に趣旨をご理解いただいた千歳豊友会病院の皆さまに、心より感謝申し上げます。
良い水曜日を、お過ごしください。
木下 浩志
NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長
株式会社MCL 取締役
北海道介護福祉学校 非常勤講師
国家資格キャリアコンサルタント


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