「あなたのおみとり」を地域で観るということ ― 5月23日、恵庭市民会館で在宅看取りを考える

「あなたのおみとり」を地域で観るということ ― 5月23日、恵庭市民会館で在宅看取りを考える

はじめに ― 総会の翌日、地域へ

おはようございます。木下です。

昨日5月22日、特定非営利活動法人ちとせの介護医療連携の会の 通常総会 が、おかげさまで滞りなく終了いたしました。社員の皆さま、ご関係者のさまに、改めて御礼を申し上げます。

総会後の懇親会では、法人役員と社員の皆さまと、今年度の運営について率直に語り合うことができました。話題の中心は、「今年度も、現場のスタッフと一緒に事業を 楽しむ ための企画やイベントを、どう作っていくか」。介護・医療の現場で日々ご利用者と向き合うスタッフが、自分たちの仕事を「楽しい」と感じられる仕掛けこそが、 顔の見える関係 を深め、ひいては地域全体のケアの質を底上げしていく――そのことを、私自身、もう一度確かめた夜でした。

そして総会の翌日にあたる 本日5月23日(土)、お隣の恵庭市で、まさに「顔の見える関係づくり」の一つの形と呼ぶべきイベントが開催されます。

本日のイベント ― 映画「あなたのおみとり」上映会と在宅医療講演会

日時:2026年5月23日(土)13:00〜16:00(開場12:00)
会場:恵庭市民会館(恵庭市新町10番地/恵庭市役所隣)
入場:無料・申込不要
対象:千歳市・恵庭市の住民、介護・医療関係者、一般の方
主催:恵庭市在宅医療・介護連携支援センター/千歳市在宅医療・介護連携支援センター
来場特典:先着400名さまに『千歳・恵庭の在宅医療ハンドブック』を進呈

第1部(13:00〜14:10)は、北海道家庭医療学センターの先生方による 在宅医療の基本と事例 の講演。第2部は、2024年公開のドキュメンタリー映画 『あなたのおみとり』(95分) の上映です。映画は、「家に帰りたい」と願った父親と、その願いを受けとめて在宅看取りを決意した母親、そしてその姿をカメラに収めた息子(監督)の家族の記録。「在宅で看取りを支える」 という今回のテーマを、講演と映画の二つの角度から学ぶ構成になっています。

詳細はイベント告知ページをご覧ください。
👉 https://blog.chitose-renkei.com/2026/04/13/2026-5-23-movie/

なぜ、いま「在宅看取り」を地域で観るのか

本日のイベントは、当連携の会にとっても他人事ではありません。 千歳市在宅医療・介護連携支援センターは、当法人(NPO法人ちとせの介護医療連携の会)が千歳市から委託を受けて運営している事業所 であり、本日の共催者の一つです。一方、 恵庭市在宅医療・介護連携支援センターは、医療法人北晨会が運営 しておられます。つまり今日は、 二つの市と、それを支える二つの法人が、「在宅で看取りを支える」という共通テーマで肩を並べる一日 でもあるのです。

「在宅看取り」は、制度の文章に書こうとすれば数行で書けてしまうテーマです。「住み慣れた地域で、人生の最期まで」――言葉としては、もはや誰もが知っています。けれども、その数行のうしろには、ご本人・ご家族・医療職・介護職それぞれの、言葉になりにくい揺れがあります。

こうした問いは、研修のスライドだけでは届きにくい層にこそ届けたい問いです。だからこそ、 講演(=言葉で学ぶ)ドキュメンタリー映画(=他者の人生を体験的に学ぶ) を組み合わせて、地域の住民・専門職が同じ会場で同じ時間を過ごす――この設計に、私は深い意味を感じます。

一昨日のACP研修と、今日の映画は地続きの話

実は、当連携の会では一昨日5月20日(水)に、連携カレッジ 「ACPと意思決定支援の基本」 を北ガス文化ホールで開催したばかりです。講師は、本日の講演にも登壇される北海道家庭医療学センターの先生方と同じグループの 鈴木 喬之 先生。33名の多職種にご参加いただき、「ACPは終末期の話ではなく、 元気なうちから・繰り返し・多職種で 共有していく価値観の会話なのだ」というメッセージを、深く共有しました。

ACP研修で学んだ「本人の願いを聴く・届ける」という多職種連携の作法は、本日の映画『あなたのおみとり』が描く家族の物語と、まさに地続きです。

5月20日の研修で「ACPは身近なもの」と気づいた方が、5月23日の映画で「在宅看取りは特別な人だけの話ではない」と感じる。この2つの学びが地域のなかでつながったとき、千歳・恵庭の在宅医療介護連携は、確実に一段階深まります。

地域住民と専門職が「同じスクリーン」を観ることの意味

このイベントのもう一つの大きな価値は、 地域住民と介護・医療の専門職が、同じ会場で同じ映画を観る という点にあると、私は考えています。

専門職向けの研修は、私たちの間で「共通言語」を作ります。一方、地域住民向けの講演会は、地域に在宅医療への理解を広げます。けれども、両者が「別々の場」で学んでいる限り、いざ家族として在宅看取りに直面したとき、 住民と専門職の間にある言葉の壁 は、なかなか埋まりません。

本日の恵庭市民会館には、ご家族として在宅看取りを考えている方も、現役のケアマネジャーや訪問看護師も、若いヘルパーも、これから在宅医療を学ぼうとしている学生も、同じ椅子に座って同じスクリーンを見上げる時間が生まれます。映画が終わって会場を出るとき、隣に座っていた住民と専門職が、ふと一言を交わすかもしれない。 その一言が、顔の見える関係の最初の一歩 になるかもしれない。

昨夜の懇親会で確認した「事業を 楽しむ」というキーワードを、私はこんなふうに翻訳しています。 楽しむとは、効率や成果を脇に置いて、人と顔を合わせる時間そのものを大切にすることだ と。本日のイベントは、その意味でとても「楽しい」企画です。

市境を越え、法人を越えて ― 二市・二法人の協働として

繰り返しになりますが、本日のイベントは、当法人が運営する 千歳市在宅医療・介護連携支援センター と、医療法人北晨会が運営する 恵庭市在宅医療・介護連携支援センター両センターの共催 によるものです。

同じ生活圏に暮らす千歳市民・恵庭市民にとって、行政区の境目は実生活では大きな意味を持ちません。ご家族が両市にまたがって暮らすことも、勤務先が市境を越えることも、ごく日常のことです。在宅医療・介護は、まさにその生活の延長線上にあるサービスですから、 市境・法人境を越えた連携 こそが、これからの在宅看取りを支える基盤になります。

本日の恵庭市民会館は、その地域基盤を形にする一日です。会員事業所の皆さまには、ぜひ現場のスタッフ・ご利用者ご家族にもお声がけいただき、ご都合のつく方は恵庭市民会館にお運びくださいますようお願いいたします。

来場特典の 『千歳・恵庭の在宅医療ハンドブック』 は、両市の在宅医療・介護資源を網羅した実務的な冊子で、現場でも非常に役立つ一冊です。先着400名さまですので、関心のある方はお早めに会場へお越しください。

おわりに ― 「家に帰りたい」を支える地域でありたい

『あなたのおみとり』の父親が口にした「家に帰りたい」という言葉は、決して特別な人の特別な願いではありません。私たちが日々関わっているご利用者、ご家族の誰もが、いつかどこかで口にしうる、 ごく当たり前の願い です。

その当たり前の願いに、当たり前のように地域で応えられる仕組み――それが、在宅医療介護連携の最終的なゴールだと、私は考えています。

今日5月23日、恵庭市民会館の客席で、地域の住民と専門職が同じ涙を流し、同じことを考える。そんな数時間が、千歳・恵庭の在宅看取りの未来を、確かに前へと進めてくれるはずです。

会場でお会いできる皆さまを、楽しみにしています。

良い土曜日を、お過ごしください。

木下 浩志
NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長
株式会社MCL 取締役
北海道介護福祉学校 非常勤講師
国家資格キャリアコンサルタント

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