介護・医療現場のスタッフが「AI部下」を手に入れる日~Claude Code研修の現場から~

介護・医療現場のスタッフが「AI部下」を手に入れる日~Claude Code研修の現場から~

こんにちは、木下浩志です。

最近、医療機関や介護サービス事業所から、「Claude Code デスクトップアプリ活用講座」のお問合せが増えています。開催したときの、参加者の皆さんの反応がとても印象的なので、その内容と気づきを共有します。

なぜ「チャットAI」ではなく「Claude Code」なのか

ChatGPTをはじめとするチャットAIは、多くの方がすでに触れたことがあると思います。しかし、介護・医療の現場では「ちょっと聞いてみる」程度の使い方で止まっているケースがほとんどです。

研修の冒頭で、現場が抱える3つの壁について共有しました。

  1. 忙しすぎてAIを学ぶ余裕がない――「チャットに聞いてみる」程度で止まっている
  2. AIを使えるのは事務系・管理職だけ――現場との接点が少なく、効果が限定的
  3. 自分の効率化”だけ”で終わる――組織全体の生産性向上につながらない

Claude Codeは、こうした壁を越えるためのツールです。チャットAIとの最大の違いは、「会話」ではなく「作業」ができること。PC上のファイルを直接読み書きし、Excelを作成し、PDFを要約し、さらにはWebアプリまで作れます。いわば「AI部下」として、実際の業務を遂行してくれるのです。

「プログラミング不要、日本語だけ」で何ができるか

研修では実際にデモをお見せしましたが、特に反応が大きかったのは以下の3つでした。

1. 議事録の自動作成

多職種連携会議の後、参加者・議題・決定事項を箇条書きで入力するだけで、5分もかからず整った議事録が完成します。出席者一覧の表作成、議論の整理、アクションアイテムの抽出まで自動です。さらに「この会議の内容をもとに、先生へのお礼メールも作って」と言えば、議事録の文脈を引き継いで対応してくれます。

2. Excelシフト表の生成

「こういうシフト表を作って」の一言で、職員ごとに色分けされたシフト表が出来上がります。早番・通常・遅番・休みの配置、A3横向きの印刷設定まで自動。これまで毎月3日かかっていた作業が大幅に短縮できる可能性を、参加者の皆さんも実感されていました。

3. ライブコーディング体験

研修のハイライトは、参加者の目の前で「お薬服用チェックリスト」のWebアプリを作ったことです。日付選択、患者名入力、薬の名前、朝昼夕のチェックボックス、時刻の自動記録、印刷機能——これらすべてを日本語の指示だけで、約2分で完成させました。

「色を緑系に変えて」「確認者サイン欄を追加して」といった修正も、対話するだけで即座に反映されます。プログラマーへの依頼と違い、待ち時間ゼロです。

1人の工夫を組織の資産に変える「Skills」

個人的に、研修で最も伝えたかったのがこの部分です。

Claude Codeには「Skills」という機能があります。たとえば、ある管理職が「領収書6枚から経費精算Excelを作成する」という複雑な手順をClaude Codeで実行したとします。この手順はSkillファイルとして保存でき、次回からは「経費精算して」の一言で再現できます。

さらに重要なのは、このSkillをチーム全員で共有できること。

1人が作った業務の「レシピ」が、組織全体の標準になる。属人化からの脱却をAIが実現するのです。

忘れてはならない「3つの鉄則」

便利なツールだからこそ、守るべきルールがあります。研修では以下の3点を強調しました。

  1. 患者の個人情報をAIに入力しない――氏名・生年月日・病名はそのまま入力禁止。使う場合は必ず匿名化する
  2. AIの回答は必ず人間が確認する――AIは「もっともらしい嘘」をつくことがある。特に制度や数値は原典で確認を
  3. 無料版のAIに業務データを入力しない――無料版は入力データがAI学習に使われる可能性がある

「ちょっと調べたいだけ」は言い訳になりません。業務に関わる作業は、必ずプライバシー設定を施した有料版で行うことが大前提です。

求められるのは「国語力」

研修の最後にお伝えしたのは、AIを使いこなすために必要なのはプログラミングスキルではなく「国語力」だということです。

「何を」「誰のために」「どのレベルで」「いつまでに」——これを明確に言語化できるほど、AIの出力品質は飛躍的に上がります。これはまさに、人間の部下に指示を出すスキルと同じです。

キャリアコンサルタントの立場から言えば、この「願望の言語化力」は、AIの時代にこそ価値を増すスキルです。現場の困りごとを言語化し、AIという道具を使って解決策を形にできる人材。そうした人材が、これからの介護・医療の現場を変えていく原動力になると確信しています。

おわりに

研修後、参加者の方から「こんなことまでできるんですか」という声を多くいただきました。答えは「はい」です。そして、これはまだ始まりにすぎません。

AI部下は1人ではなく、チームとして同時に動かすこともできます。定型業務は自動で走らせ、人間は判断と人との関わりに集中する。そんな働き方が、もう手の届くところにあります。

興味を持たれた方は、まずはClaude Codeをインストールして、プライバシー設定をOFFにするところから始めてみてください。月額約3,000円で「AI部下」が手に入ります。

木下浩志(NPO法人ちとせの介護医療連携の会 理事長/株式会社MCL 取締役/国家資格キャリアコンサルタント)

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